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ヒロさんすごい、繋がったよ、もう二度と入れないと思ってあきらめてた管理画面に

たまにいろいろ思い出してはまた忘れの繰り返しで、ひとつだけどうしても気になってたのが

帽子屋さんの正体

・・・

アクションものにはまってるときは彼は最強のアサシンであり
ファンタジーがマイブームのときは彼は悪魔であり

なんとなく、特殊教育で天才的才能が暴走してしまった人間っていうところが着地点かなあと

書きたかったです。パワーがあれば、ほんと。
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こんなところではありますが、ごくたまに訪れていただけるかたもいらっしゃるようで、せめて何か御用意しておければなあ思うのでが、話を書く頭も全然ダメダメ状態ですので・・・

毎度馬鹿馬鹿しいハナシでもひとつ。
インタビュー形式の、どうでもいい雑談。




すみません、ほんと書きっぱなしと言うか書き逃げと言うか、そんな状態でしたので、まさかまさかのコメントにびっくり&恐縮しております。

奥の奥との名に偽りなしのこんな場所に・・・

また何か書くかもしれないですが、書けないかもしれないし、年に一度くらい、もしまだ覚えていらっしゃったら・・・覗いてみていただけると・・・

というわけで、もしまた気まぐれに覗いてくださったときのために、置手紙です。



推定20代前半くらいの、王様の話



未だに夢で見る。何の希望も持てず、人を信じられず、命を狙われ、そんな中でのたった一日だけの素晴らしい時間。今までの、そしてこれからの人生の中で、きっといちばん輝いた一瞬。

マフには何度話しただろうか。静かに聞いてくれるのをいいことに何度も何度も、あの時の思い出を話した。それはまるで異国の映画のようですねとマフは言った。自分も映画のような出会いだったと思っていたけれど、それはたとえではなくて、本当に有名な映画があることを知った。
休息日に、離宮でその映画を見た。王子ではなくてプリンセスだったけれど。ニューヨークではなくてイタリアだったけれど。撃ったり刺したりの流血サスペンスではなかったけれど。確かに面白いほどに似ていた。

最後の別れまで。

「やはり、これが現実か。ハッピーエンドにはならないものなのだな」

「観客の立場から言わせていただくなら、ハッピーではないからこその名作ですね」

「もし、この姫君が、全てを捨てて新聞記者の元に行っていたら、駄作だったと?」

「はい。絶対的立場にある女性であるからこそこの恋が美しく儚いものであると私は思います。彼女が一女性になってしまうのなら、この恋の価値は急落することでしょう」

「厳しい評論だな」

「この新聞記者も、彼女が意外に普通の女性だったから恋をしたのではなく、普通などではない、高貴な、そして簡単に立場を捨てない女性であったからこそ恋に落ち、永遠に彼女を思い愛し続けるのではないでしょうか・・・陛下?」

「すまん。いや・・・これは映画に感動した涙だ。気にするな」

「いいえ。今日は休息日。ここは陛下だけの場所。たとえ一国の強き王が映画の内容に涙を流そうと、あるいはご自分の境遇にそれを重ねようと、責める者はおりません。私は席を外したほうがよろしいでしょうか」

「・・・ここにいてくれ」

「御意に」

妃を娶り、子をなし、国政に明け暮れ。いつか忘れられるかもと思っていたのに、忘れるどころか日に日に募る思い。今自分を留めている枷は立場ではない。こんなものは捨てられる。駄作だろうとなんだろうと、俺はそんな平凡な男だ。そうできない理由は。

彼の人に、自分以上の想い人がいると、そんな悲しい現実。追いたくても、捕まえたくても、この手には絶対に落ちないことが分かっているから。

「もう一つ感想を言わせていただくなら」

胸を借りているマフが、頭上でゆっくりと語りかけてくる。

「世の大半の者が悲恋をしているのです。ハッピーエンドなどほんの一握り。自分に置き換えて見ているから、楽しく悲しく、そして心に残る。そんな話なのでしょう。陛下はどんな人間も思いのままにできる立場にあられながら一般人のように悲恋をなさる。なんと貴重な経験でございましょうか。お苦しみなさいませ。そこから人は立ち上がる。夢を見続けていられるのです」

「おまえ、恋愛カウンセラーもできるのか」

「なぐさめしかできない無能者でございます」

「おまえも悲恋をしたのか?」

「私は残念ながら陛下のような一世一代の恋をしたことは未だございません。今後に期待いたします」

「真面目な顔でなにを言っているんだ。・・・はは。涙も乾いたわ。腹が減った」

「では軽食を用意いたします。お待ち下さい」

そうだな、夢を見よう。いくらでも。
約束した。嘘のない、二人だけの約束。10年後に、会おうと。

それまでは。たまに涙が流れたら、マフに止めてもらう。マフはなんでもできるから。そしてまた前を向こう。


もう一度最初から映画を見ながら、自分はこうだったと、何十回目かの自分の話をした。
マフは静かに聞いてくれた。ああ確かに、この映画を見た者が感じる気持ちは哀しみではなく感動だ。絶望ではなく希望。まだ夢は見れる。
差し込む夕日の赤とあの日の夕暮れの赤とが美しくシンクロして、その中を漂うように、赤の似合う彼の人の姿が・・・流れて消えた。





このブログがまだ機能していることに気づいたので、シェエラザードという話の中で、隠し部屋的に書いた話の、清劉視点の話です。
王子とあれがあれの。
説明が曖昧なのは、きっともうここは誰も見ていないと思うからなのと、自分自身もよく覚えていないからです。



暁の秘めごと

贅沢をしたいとは思わないが、贅沢を与えられるのは嫌いではない。
これまでの人生、最高レベルと言われるそこそこの贅沢は経験した。でも今、真に国内一の最高の贅沢を享受するという奇跡にあずかっている。
激しい悦楽のあとの、心地良い疲れのままに、人肌のようなしっとりとしたシルクに身を任せてゆっくりと暁を待つ。微かに聞こえる水音と、黄砂が流れる音。

日中はただ外にいるだけで死にかけて幻覚を見るほどの酷暑の国なのに、この王子の部屋には冷房は見当たら無い。それなのに心地良い温度の風が、邪魔にならない程度に常に吹き抜けている。
砂漠からの乾いた風が、幾重にも計算された角度で木々と水辺を通り、そしてこの空間へと導かれているようだ。視覚と聴覚からも、体が心地よさを覚える感覚が得られるように綿密に計算され施行されている。何よりもそのハイテクノロジーを微塵も感じさせない、美しく野趣味溢れる装飾。
最高の科学者と技術者と、そしてアーティストの叡智の極みと言えるものだ。
一国の王だけが許されるその究極の贅沢を、半ば強引であったとはいえ体験できた奇跡は一生忘れることのない記憶となるだろう。

今ばかりは、眠れないこの体質が有り難い。眠ってしまうのはもったいない。こうしてまどろんだまま愉しんでいたい。機械に頼らないからその分自然の音が優しく響く。天井には月。ジャスミンの香。それを発するのはそこかしこに飾られた生花か、あるいは隣で眠る若き王子か。

非道の現実に押し潰される寸前だった少年が、ようやく手に入れた僅かばかりの安らぎの時間。柔らかな寝顔はつかの間の安息を得ていることを表している。それを与えられたのが自分であるなら、心から良かったと、そう思う。

裏切られては立ち上がり、そしてまた裏切られ、幾人もの犠牲を出し、それでも進めと命ぜられる。心も体も誰かが抱きしめてやらないと、だめだった。おこがましさを承知で言うが、それができるのは自分しかいないと思った。それでも最後の一線を超えられない自分の背を押したのはウィンだった。人一倍嫉妬深いおまえのことだ、それは苦渋の決断であったことだろう。でもウィン、俺は今おまえへの愛が溢れてきて、泣きそうなくらい幸せを感じている。ただの愛欲の行為ではない。おまえと俺とで、トルーファを抱きしめたのだ。なんと至高の愛だろうか。・・・と言ったら詭弁と怒るか?
そうだな。正直、最後はそんな余裕もなくなっていた。この最高の空間で、最高の男と・・・これは永遠の秘密だ。おまえには言わない。愛しているから。

少しだけ空が白んできた。月の光が弱まり、明けの明星が薄ぼんやりと見えてきた。
完全に眠りに落ちているトルーファの手の力は抜けているが、指がふわりと重なったままで温もりが伝わってくる。夜が明けたら俺は去る。それまではここでこうしておまえの目覚めを待とう。賢いおまえのことだ、全てを覚悟し受け入れ、そしてまた立ち上がるために、永遠の愛を捨て刹那の交愛を選んだのだろう。それを後悔させないように、俺はこの気持ちをおまえに捧げ、おまえの夢に添おう。

千夜一夜の夢語りで、自分の過去を語った。この悲惨な半生を、それでも笑って語れるのは、愛を知ったからだ。俺を愛してくれる優しい者達の、気持ちを素直に受け入れることが、俺の生きる意味。こんな自分であっても、誰かが生きよと願うのなら俺は生きる。その気持ちを、俺はトルーファへと引き継ごう。生きよ、トルーファ。この先は地獄。それでも生きよ。おまえを愛する者達のために。


あの星は、堕天使ルシファー。そう教えてくれたのはチェンだったか。闇と朝の狭間で、輝く明星。満足と、不安と、微かな背徳。全てを包み込み、覆い隠し、夜が空ける・・・

重なった手がぴくりと動き、そして力が込められた。

「清劉!」

もう起きたのか。本当に束の間の休息だったな。でも顔色がいい。良かった。これでウィンの思いもマフの思いも報われる。

「どうした」

「知らないうちに眠ってしまった。だからまたいなくなっていると思った」

さっきまでの雄々しい男の顔とはまるで違う、泣き出しそうな子供の顔。ああ、こうしていつもおまえの目覚めをともに迎えてやれたらどんなにいいだろうか。おまえの哀しみを受け止めてやれればどんなに。おまえの望み通り妃となって、おまえとそしてこの贅沢な空間を自分のものにできるとしたら、それはなんと魅力的な話か。だめだな。いつまでも未練がましくしていては、心の秘密が増えるばかりだ。さあ、戻ろう。

「夜の間はいるつもりだった。おまえがよく眠れたのなら良かった」

「清劉は?寝てないのか?」

「俺は他所では眠れない体質なんだ。気にするな。ああ、そろそろ朝陽が上る。綺麗な空だ。朝の一瞬だけあんなに鮮やかな色が付くのだな。この国で綺麗なものをたくさん見た。全部おまえのものだ。だからおまえが大切にしていけ」

そうだ。そうしていつか、おまえも愛を知った時に。おれはまたおまえを抱きしめよう。

「あの・・・」

「ん?」

「いや。いい」

頬に指を添えると、そこにそっと唇が寄せられた。月はもうほとんど沈んでしまって、太陽と入れ替わるほんの数分の、最後のとき。

寝ておいたほうがいい・・・そう言いかけてやめた。
今は、自分の気持ちを。秘密を重ねたい。

「あの陽が上りきりここに差し込むまで」

「わかった」









ただ黙って抱きあい、少しずつ、糸を解くように体を離し、それが完全に離れた時に、まるで待ってくれていたかのように白い光が差した。

それを合図に部屋を出た。これで魔法は終わりだ。大丈夫だ、名残惜しいのは俺も同じ。そんな気持ちのままで終わるほうが、きっと次はもっと燃え上がる。それまで俺は、おまえのことを、遠くから愛そう。

昨夜月明かりを見ながら二人で歩いた長い回廊を、朝日を見ながらひとり戻った。
回廊の突きあたりに白い影が見えた。ほんのさっきまで、命よりも大切な主人と娼婦のように抱き合っていた者に、深く礼をする忠臣。

「短い時間ではあったけれど深く良く眠っていた。だいぶ顔色が良くなったから、もう少ししたら食事を運んでやるといい」

「ありがとうございます。なんと御礼を申し上げてよいやら」

「いい思いをしたのはお互い様だ」

マフの顔色は読めない。今の言葉を真に受けているのか冗談に取っているのか、わからない。別に事実だから、どちらでも構わない。

「ウィンディ様はだいぶお酒を召していらっしゃいましたのでそのままテラスでお休みいただいております。私にはお部屋にお運びする腕力が無く、申し訳ない限りでございます」

しかしすかざずウィンの話を振ってくるのは牽制か。賢い忠臣の存在に、心から安堵する。

「ははっ。あんなでかいのを運んだら腰を悪くするぞ。こっちこそ迷惑をかけてしまったな。俺が起こしに行く。今日はもうこの国を立たねばならないからな」

「お見送りさせていただきたいのは山々ですが・・・」

「ああ。トルーファの側にいてやってくれ。一時的に収まった嵐が、またすぐに来るのだからな」


そこまではマフが頑張って運んでくれたのか、テラスに置かれたデッキチェアーで切なげな表情で眠っているウィン。なんでもできる有能な忠臣が、酔って寝てしまったでかい男を抱えて悪戦苦闘をしたのであろうことを思うと笑みが湧いてくる。酔いつぶれるなど珍しい。昨晩の世語りではヒーローであったはずなのだが。今は見る方もない。・・・俺のせいだな。いや、おまえは十分にヒーローだった。誰よりも強い。

「ぐっ」

みぞおちに一発入れると、なんとも間の抜けた声をあげてウィンが目を覚ました。

「こんなところで寝るな、帰るぞ」

「え?帰る?え?あれ?もう朝」

「あんなに疲労困憊の王子もマフももう起きて動き始めているというのに、おまえは何を寝ぼけている」

「おはようございます、ウィンディ様。私が非力なばかりにこのような場所でご就寝いただいたご無礼を心よりお詫び申し上げます」

「マフさん、いつの間に着替えてっ。いやあなたもいつの間に戻って来たんですか」

「戻ってこないかと思ったか?」

「いえそんなことは少しも」

「俺は少し思った」

「な、な、何を言ってっ!」

少しだけだ。でも戻って来た。おまえの元に。日差しが熱い、現実の世界に。
帰ろう、ウィン。豪華絢爛な魔法の国から我らの慎ましやかな家へ。
早くあの小さな部屋の古びたベッドで、俺を抱いてくれ。夢を魔法を忘れさせてくれ。俺が強くあるために。涙を流してしまう前に。俺こそ、この先の10年を、耐えて生きていけるように。俺はトルーファのように強くないから。凡人だから。おまえがいないとだめだから。

「冗談だ。ほら、早くしろ」


竜の神よ。俺はもう何も要らないから、ウィンさえいればいいから。だから俺の全てをかけて心から願う。どうかこの国の王にさらなる力を。孤独を耐える力を。どうか与え給え。

全てをかけて、願う・・・


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